WebUIの要求仕様の策定やデザインを行うとき,特にユーザー中心設計を行っているときには,常に具体的なユースケース(シナリオ)を取り上げて情報のレイアウトとインタラクションを定義していく.我々のプロジェクトで対象としているのは検索サービスであるので,複数のユーザー像とそれぞれに応じた情報のレイアウト,検索プロセスのインタラクションを決定していく.複数のユーザー像の中でも,検索の一般利用者とエキスパートとは明らかに2分して想定でき,2つのユーザーの検索プロセスは異なることを想定している.たとえば,検索対象から検索結果を得るための検索キーワードの指定や検索結果集合に対する追加的な絞り込みの方法などが異なるのである.しかし,実際にはちょうど中間のユーザーも存在するであろう.したがって,状況によっては双方のユーザーの検索プロセスをスイッチして許容するようなシステムである方が検索プロセスという点だけに着目してみればよりユーザーの思いを妨げない.ちょうど地図を画面上で表示するときにLOD(Level Of Detail)を考慮する方法が有効であるのと同様に,ユーザーの心の状況に応じて検索プロセスをスイッチできることはより使い勝手が良いといえるのではなかろうか.
このような発見はユーザー中心設計を取り行って議論をしている最中に出てくることがある.これがいつ何時気付きとなって現れるかどうかは予測できない.このとき,プロジェクトに与えられた時間は限られているため設計変更をするかまたは見送るかの決定をしなければならない.根本的な設計変更は付随する細部の変更を余儀なくされる.根本的な設計変更にかかわるクリエイティブなアイデアの創出は設計の初期の段階で出しつくしておきたいものである.
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