2008/10/06

ソフトウェア開発現場の士気

 発注者の立場でソフトウェアの開発を行っている.発注者と受注者により構成されるチームでのミーティングは開発を進めるためのマイルストーンの役割を担い,常に開発のドライビングフォースとなっている.この場における発注者の仕事は,根本的には仕様の策定と開発成果のチェックである.
 発注者も受注者も成果物に対して責任を持ち,成功に導きたいと願っているはずである.ところが,ソフトウェア開発プロジェクトの混乱と失敗がかなりの割合でおきる.よく引用されるStandish Group(http://www.standishgroup.com/)のChaosという最初の報告書(1995)は,31.1%のプロジェクトが開発の途中でキャンセルとなり,52.7%がコスト超過であることを示している.逆算して,残った16.2%が,予定通りのコストおよび納期で進められているということである.継続的に調査報告されている.(http://www.infoq.com/articles/Interview-Johnson-Standish-CHAOS
 我々のチームにも,Standish Groupの報告が示すような“成功のためのトップ10の要因(Top Ten Reasons for Success)”を意識する出来事があった.今回の開発チームは,Webインタフェースの策定を担い,この仕様の具体化をするものであった.開発の意思決定は基本トップダウンに行われ,最短時間で具現化するというものである.ソフトウェアの仕様は,最高の価値を生み出そうとして概況に応じて変化を要求する.変化に耐えられるチームが最高の成果を生み出すポテンシャルを持つ.このポテンシャルは,チームの士気と密接に関係していると思われる.士気が低下していると,変更に耐えるエネルギーが備わらない.今回,要求仕様の揺れから,スケジュール超過の予兆が出た.士気の低下とあいまって,プロジェクト計画の見直し要求が起こったのである.しかし,上席マネージャーによる,高い意識を保つようなエネルギーの注入により予定超過は回避された.実働部隊の士気は,上席マネージャーの助けによって高まるのである.

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